ガイドライン

放射線量適正化のための医療被曝ガイドライン

  (公・社)日本診療放射線技師会学会設置規程に基づき、施設放射線安全測定のみならず国民の医療被曝低減のため、放射線による公衆への危害を防止するための調査研究、技術開発とその成果の普及を目的に日本放射線公衆安全学会は設立されました。放射線は、1895年にレントゲン博士によりX線が発見されて以来、医療に利用されてきました。今日では、「放射線なくして医療なし」と言われるほどに、医療の中で有効に利用されています。その利用においては、疾病の発見、治療方針の決定、病気の経過観察など、患者が受ける利益(benefit)を目的として、人体に故意に放射線を照射する(risk)という放射線利用の特殊な分野です。

 

 そのため、医療被曝分野に適した放射線管理と防護体系の確立が必要となります。放射線診療に携わる医療従事者の役割は、科学的根拠に基づく医療(EBM)により、正当化と放射線防護の最適化が必須であるとともに、照射線量を、有益な医学的情報を得られる範囲でできるだけ低く抑えることが必要であるとことはいうまでもありません。

 

 日本診療放射線技師会が2000年に会告で示した「医療被ばくガイドライン―患者さんのための低減目標値―」改訂の研究を受託し、2006年11月に「放射線診療における線量低減目標値―医療被曝ガイドライン2006―」の研究結果を報告しました。

 

 通常の放射線検査で使用される放射線量は、不妊や胎児の形態異常などはもちろんのこと、白血病やがんの発生などの影響も考えられないほどの低線量であり、診療放射線技師の管理のもとで検査が行われています。しかし、放射線の人体への影響は現代科学でも完全に解明されているわけでもありませんが、放射線の管理を適切に行い、説明責任を果たすことは、放射線を冠する唯一の医療職種である診療放射線技師の社会的責務でもあります。一方、医療従事者は医療業務の煩雑さも加わり、放射線の影響の説明や患者さんからの質問に十分に答えていない場合もあることも事実です。

 

 医療被曝ガイドラインの策定にいたった経緯は、国連科学委員会(UNSCEAR)などから、わが国の医療被曝線量が諸外国に比べて高いことを指摘されていること、また同一検査においても医療機関において、患者の受ける線量に一桁も違うバラツキがあることから、ある程度の目安となる線量を決めることが必要でありました。また、1994年に国際原子力機関(IAEA)が典型的なX線検査や核医学検査においてガイダンスレベルを提案したこともその一つであります。また、ICRP勧告では、医療被曝に対しての特別な制限を設けないが、線量の低減にはかなりの余地が残されているとの指摘がされていることもありました。

 

 本学会は、医療被曝ガイドラインにて具体的な数値を示しただけではなく、「放射線量適正化のための医療被曝ガイドライン―放射線診療における線量低減目標値とその実践―」(文光堂:編集日本放射線技師会)の刊行に際して、線量測定方法と被曝線量の具体的低減方法も示しています。自施設の放射線診療における線量を測定・評価し、「放射線量適正化のための医療被曝ガイドライン」を活用していただきたい。

 

平成21年4月 会長 諸澄邦彦
(平成27年4月現在 監事就任)

 

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