年頭のご挨拶

  •                                                    平成26年の年頭にあたり

学会長 諸澄 邦彦

 

 平成26年の新春を迎え、謹んで新年のご祝詞を申し上げます。

 本学会は昨年,創立10周年を迎えました。平成15年3月に創立されてから、現在360名の会員を擁する学会に成長し、今までに5冊の書籍を出版し、開催した講習会も17回を数えます。その間一貫して、医療放射線の管理と国民の医療被ばく低減に向けた活動を通じて、国民の放射線安全確保を目的として活動してまいりました。

 その国民の医療被ばく低減に向けた活動が、平成23年3月11日以降、大きく変わりました。それは、管理された医療被ばくではなく、管理されていない放射線被ばくについても、われわれ診療放射線技師の対応が求められていることです。

 東京電力福島第一原子力発電所事故直後は、グレイ、シーベルト等の放射線単位と放射線影響の説明でした。その後、平成23年末に政府が出した方針が「長期目標年1ミリシーベルト以下」であり、除染を行う地域の基準も年1ミリシーベルトとされました。そのため国民は、1ミリシーベルトを危険と安全の境界値と考え、これを空間線量に換算し、「毎時0.23マイクロシーベルト」の数値を故郷に帰る目安と考えたのは当然ではないでしょうか。

 原子力規制委員会は、平成25年11月20日、個人が身につける線量計の測定値を基にするとの提言をまとめました。「個人線量計で年1ミリシーベルト以下」とすると事情は変わります。個人線量を測る線量計と空間線量を測る測定器では校正の仕方が異なります。個人線量計による被ばく線量は実効線量にほぼ等しいですが、空間線量は換算係数をかけなければ実効線量になりません。

 医療被ばくについては、行為の正当化と防護の最適化を基に、説明の方針が立てられました。しかし、環境からの被ばく、飲食物を通じての内部被ばくなど、複雑な内容でも伝える努力をしないと信頼が得られなくなります。

 放射線の種類と測定器の特殊性を理解し、放射線影響に関する基礎知識を有している人材は少なく、相談に対応できる職種として、全国に存在する診療放射線技師に期待が寄せられています。そこには線量計の測定結果を解り易く説明し、内部被ばくに関しては線量換算係数から科学的に説明するなど、きめ細かく相談にのるには、リスクコミニュケーションの知識とカウンセリング技法が必要となってきます。

 本学会では、3月2日(日)に第18回講習会を公益社団法人日本診療放射線技師会講義室で開催します。テーマは「医療被ばく相談実践へのアプローチ」で、日常業務で遭遇する医療被ばく相談事例を基に実践型のグループワークを行います。グループワークに参加する中で学ぶカウンセリング技法は、国民の放射線被ばくに対する相談にも活用、応用できるものです。

 国民の放射線安全確保を目的とした活動方針の一つとして、放射線被ばく相談の対応を今後の活動内容に加えることを明確にして年頭所感とします。

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