創立10周年講演会へのお誘い ~諸澄会学会長からのメッセージ~

国連科学委員会報告の新聞報道で考える

 

 東京電力福島第1原発事故による周辺住民の健康影響を調べている国連科学委員会によって、事故後1年間の甲状腺被ばく線量(等価線量)を推計し、原発から30キロ圏外の福島県の1歳児は最大66mSv、30キロ圏内にいて避難したケースでも最大82mSvとする報告書案がまとめられ、「被ばく線量は少なく、健康への明確な影響はないとみられる」と結論づけられた。

その概要を伝える新聞報道で、「1歳児甲状腺『危険値』下回る」と見出しをつけた全国紙があった。推計値が成人、1歳児とも、100mSv以下だったことをとらえ、「危険値を下回る」との表現だが、100mSvは、危険と安全の境界値ではない。

創立10周年記念講演会では、毎日新聞社の小島正美氏に、「放射線被ばくについての誤解だらけのメディア情報を考える」と題する特別講演をお願いしている。

記事本文中では、「(がんの発生は少なく)見つけるのが難しいレベル」としながらも、見出しでは、「危険値を下回る」とする新聞報道の制作過程の内幕を伺えるのではないだろうか。

 

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