年頭のご挨拶(会長)
年頭所感
謹んで新年のお喜びを申し上げます。
旧年中は本学会活動につきまして格別のご理解とご協力を頂き感謝を申し上げます。
さて,昨年は世界的に大きく激動した年だったと思います。米国大統領選挙,英国での国民投票等では国民の意思表示が強く表れた結果の象徴ではなかったでしょうか。国内の放射線利用分野では2011年の福島第一原子力発電所事故により国民の放射線利用に対する大きな意識変化を経験し,2017年3月で6年の月日が経とうとしています。今もなお帰還困難区域や居住制限区域といった区域分けに示される避難生活を送られている方々も多く、この事故については長期にわたり多くの課題を整理していかなければならない事情を抱えており原子力災害,放射線関連事故の典型的な特徴であります。 このことの背景には放射性物質の性質によるところもありますが,放射線被ばくに係る不安は将来にわたること,また,低線量・低線量率被ばくに対して人体影響が明確に示せないという理由が挙げられると思います。私たちの学会としては,放射線利用の実態を社会に伝えること,多様な情報を積極的に公開していくことを現代社会が求めていることだと考え、学会活動を進めています。医療放射線利用においても2015年に診断参考レベル(DRLs2015)が公表されました。診療放射線技師が医療放射線の最適・適正化に努め質の高い放射線診療を行うことが責務ですから,当然,自施設の撮影条件や被ばく線量関連データ,医療被ばくや職業被ばくにおいて多くの診療放射線技師が管理実務の主体を担っていると思います。医療被ばくの最適・適正化に向けた指標になるものが診断参考レベルであり、診療放射線技師が診断参考レベルを活用しデータを更新できる唯一の職種だという現実を真摯に受け止めたいと思います。新年を迎えステップアップした活動ができるようにご支援を頂けるようお願いし年頭所感とさせていただきます。会員の方々にとって更なる飛躍の年であることを祈願します。
2017年1月1日
日本放射線公衆安全学会
会長 清堂 峰明