年頭のご挨拶
年頭所感
会長 諸澄邦彦
平成27年の新春を迎え、謹んで新年のご祝詞を申し上げます。
本学会の事業の推進に対し、ご理解とご協力をいただき深く感謝申し上げます。
平成15年3月に本学会が設立されてから、6期12年にわたり、学会長を務めて参りました。平成15年7月に配信したメール(jrps.1)では、会員数40名とあります。その後、会員数は増加しましたが退会される方もあり、現在は350名です。会員にとって有意義で、会費に見合った活動と、会員が期待する活動がなされていたでしょうか。
本学会は、医療被ばく低減と放射線管理を2本の柱として活動をしてきましたが、今年は、それらの活動の集大成がなされ、次のステップへの検討が進んでおります。
第一に、本学会設立時に医療被ばくの低減方策の検討がなされておりました。その成果が、日本診療放射線技師会の「医療被ばくガイドライン」として示され、今年は、J-RIME(医療被ばく研究情報ネットワーク)からDRL(診断参考レベル)として提案される予定です。
第二に、本学会内の研究活動として推進してきた「ポータブルならびに外科用イメージの利用における放射線安全管理に関するガイドライン」がまとまり、今後、医療機関内におけるポータブル撮影における放射線防護の提案がなされます。
第三は、直線しきい値なし(LNT)モデルの再検討の提案です。現在の放射線の安全性に関する規範(パラダイム)は、直線しきい値なしモデルに立脚しています。LNTモデルは、どこまでが安全で、どこからが危険かを示すしきい値がないため、安全な線量と言うものがなく、このことが低線量放射線を恐れる理由になっているのではないでしょうか。
平成23年3月11日の東京電力福島第一原発事故以降、いまだ12万人以上の方が故郷に戻れない避難生活を強いられています。避難指示の解除に向けて、住民の個人線量計による被ばく線量の把握はもちろん必要ですが、その数値の説明と、避難されている方が不安に思う、低線量被ばくの健康影響を、丁寧に説明すべきだと思います。
「放射線の安全性に関する規範(パラダイム)の検討」をテーマとし、日本診療放射線技師会に研究申請を行い承認されました。会員の方々のご協力をお願いするところです。
今年は、平成27年-28年度の役員改選の年です。6期12年にわたりご支援いただいた会員の方々に感謝し、バトンを引き継ぐ新執行部に期待して年頭所感とします。