平成30年度日本放射線公衆安全学会学術大会印象記

< 高松赤十字病院  坂本 吉伸 >

 

平成30年9月21日下関市にある海峡メッセにて開催された、平成30年度日本放射線公衆安全学会学術大会に参加しましたので、報告させていただきます。

今回は「公衆安全の立場から医療被ばくを考える」をテーマに、3名のシンポジストの先生方にご講演いただき、その後総合討論に移りました。

医療法省令改正に向けた線量記録の動向についてでは、医療法で新たに規定された医療放射線に係る安全管理の中で、医療放射線の安全管理に係る体制や医療被ばくの線量管理の対象となるモダリティに関する説明がありました。被ばく線量記録義務化の厚生労働省の方針については、我々診療放射線技師全体に関係してきますし、被ばく線量管理の在り方も変化すると思われますので、今後もスキルアップをしていかなければと感じました。

医療被ばく線量把握と患者説明についてでは、患者に説明する際に必要となる組織・臓器線量の実測方法とソフトによる推計方法について説明がありました。現在さまざまな線量推計ソフトがありますが、有効なモダリティの理解と機器の精度管理が計測結果に大きく関わっていることを実感しました。

医療被ばく低減施設についてでは、医療被ばく低減施設認定の取得を進めるにあたり、放射線管理、放射線機器の管理、マニュアル整備、放射線啓蒙活動といった観点から、実際の認定施設取得までの過程が非常にわかりやすく説明され、これから取得を検討している施設に大いに役立つ内容だと感じました。当院でも放射線防護対策チームを立ち上げて活動を開始したところですので、今後の参考にさせていただくとともに、部内の理解などまだまだ道のりは長いですが、いずれ医療被ばく低減施設認定の取得報告ができれば幸いです。

また、会場受付では昨年度の講習会テキストが販売されており、私もお土産としてゲットしてきました。講習会のほうも機会があればぜひ参加させていただこうと思います。

最後に、ご講演いただいた講師の先生方、ならびにスタッフ関係者の皆さまにおかれましては、ご多用中にもかかわらず有意義な会を開催していただき、この場をお借りして感謝申し上げます。

 

 

< 富岡総合病院  廣田 久継 >

 

今年の日本診療放射線技師学術大会は、山口県において海峡メッセ下関と下関生涯学習

プラザの2会場において開催された。

大会初日に関連学会企画として公衆安全学会によるシンポジウムがあった。

  1. 医療法省令改正に向けた線量記録の動向について
  2. 医療被ばく線量把握と患者説明について
  3. 被ばく低減施設認定について
  4. 総合討論

今回の学術大会は上記のプログラムであった。被ばく線量管理というと地味なところと感じるが、東日本大震災の福島原発以来、一般の人において放射線被ばくに関心が向けられた。「CT線量 病院で10倍差」と新聞等で報じられる中で、線量把握や管理が必須の状況になって来たのを感じた。
改正放射線障害防止法は2019年9月に全面施行、医療法の改正省令は早ければ年内の公布、2020年あたりが施行。水晶体の等価線量限度に関する動向等の多くの情報が得られた。
診療報酬改訂においても被ばく線量管理が今後必要になってくると思われた。
今回の学術大会において非常に有用な資料や講演を聞けたシンポジウムであった。