放射線安全管理セミナーを開催して

 

公益社団法人秋田県診療放射線技師会 放射線安全管理委員 

法花堂学(市立横手病院)

 

 公益社団法人秋田県診療放射線技師会では、昨年度から放射線安全管理委員会(放射線管理士、放射線機器管理士、医療画像情報精度管理士により構成)を新たに立ち上げ、当面の目標を秋田県内における医療被ばく低減施設の取得推進と定め活動を開始しました。認定取得には自施設の線量評価が大きな要件の一つですが会員の多くが線量評価に馴染みがなく自施設の線量を把握できていないと考え、今年度5月に開催した第1回セミナーでは線量算定ソフト(EPDPCXMC)を用いた一般撮影系の被ばく線量測定の実習を行いました。結果、多くの若い会員に関心を持っていただく事が出来、線量評価が身近に感じていただけたものと伺えます。

 第2回セミナーでは上部消化管撮影における被ばくについて机上講義とPCXMCを用いた線量算定の実習を計画しました。しかしながら最適化の推進には自施設の線量評価で得られた数値の持つ意味を知る事、また最適化の指標であるDRL(ガイドライン)の適切な活用が重要です。今回我々の強い要望もありJARTガイドライン・DRL策定に御尽力された日本放射線公衆安全学会監事の諸澄邦彦先生に秋田まで足をお運びいただき「DRLs設定の経緯について」という標題でご講演いただく運びとなりました。 

 諸澄先生からは福島県をはじめとした放射性物質による当時の環境汚染の状況とJARTの取り組み、また医療放射線における防護の最適化についてJARTガイドラインの果たした役割、J-RIMEでの活動からDRL策定までの経緯について数々のご経験から詳細かつわかり易く解説いただきました。参加者もDRLの意義を十分理解でき、今後活用が推進するものと期待します。また、医療放射線における被ばくではIVRCTによる被ばく管理には最も注意を払うべきと改めて認識しました。我々はALARAの原則に則り放射線影響は起こり得る事象して管理する必要があります。今回のセミナーのテーマである消化管撮影については健康人を対象に広く施行され、また非血管系IVRが多く施行される昨今では、透視時間も決して短くありません。そういった点において透視撮影におけるDRLが設定されなかった事を残念に思い、次回の改定では考慮される事を切に望んでおります。

 今回、地域レベルで被ばく管理を啓蒙する上で貴重な講演を拝聴させて頂きました。その後の親睦会でも熱く盛り上がり、委員一同地域の放射線管理を推進するモチベーションが向上したものと思います。諸澄先生ならびに日本放射線公衆安全学会にこの場をお借りしまして、御礼申し上げます。

 

   

 

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