新任会長挨拶

                                              清堂 峰明

 

 日頃より日本放射線公衆学会の学術活動をはじめ運営に関してご理解とご協力を頂きお礼を申し上げます。平成2728年度役員選挙で日本放射線公衆安全学会会長に信任をいただいた清堂峰明(せいどうみねあき)です。

 さて,当学会が創設されてから12年が経ちました。創設より諸澄学会長の指導のもと会員として,また,10年間理事として会務に携わってきました。この間にいろいろな経験と勉強をさせて頂いた諸澄会長をはじめとした関係者の方に感謝するとともに,これからの学会運営にお力添えをいただけるようお願いしたいと思います。

 今から10年前といえば2005年,当然ですが歳も10歳若かった時です。第1回講習会を横浜鶴見大学会館に於いて「法令改正と医療被ばく線量評価の試み」と題して3月13日に開催しています。現在日本診療放射線技師会が行っている「医療被ばく低減施設認定」の基礎となる講習会でした。これの1年前2004年(平成16年)2月10日読売新聞一面トップの見出しで「がん3.2% 診断被ばく原因」と,1 月31 日付の英国の医学誌「ランセット」に掲載されたオックスフォード大学グループの調査結果「診断用X線によるがんリスク」の概要を報道しました。CT検査のキャンセルが相次いだことも11年前の話になってしましました。その年の7月に当時の日本放射線技師会は東京白金台(現 和光市)国立保健医療科学院に於いて第1回「安心できる放射線診療のために」を開催しています。これらは新聞報道を受けた企画としてではなく時世をタイムリーに読み計画されていたものであることを知り大きな刺激となったことを覚えています。東日本大震災での福島第一原子力発電所事故においても復興作業が進む中で原子力,放射線の利用に対する社会の目は変わったといえます。医療放射線利用もCT装置をはじめとした診療放射線機器の普及と技術革新や複合利用などによるエックス線画像情報の有効性に埋もれて「被ばく」という原点が薄れることがあってはいけないと思っています。いま医療放射線利用の「被ばく」に対しての基礎を診療放射線技師が作らなければならない岐路に立たされているといっても過言ではない状況です。50年後の診療放射線技師像を見据えて諸澄会長の後を引継ぎ,これまでの学会活動に恥じることのない仕事ができればと思っています。そのためにも,タイムリーな情報発信,学術的成果等学会としての機能を充実させるため会員の皆様方からの投稿や講習会への参加など活発な意見発信をお願いします。

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