日本放射線公衆安全学会創立10周年記念講演会参加者からの印象記

7月21日(日)に開催された日本放射線公衆安全学会創立10周年記念講演会の参加者より印象記が届きましたので紹介します。

 

 

日本放射線公衆安全学会創立10周年記念講演会に参加して

 

                                             日本医科大学多摩永山病院 上森真里子

 

 7月21日(日)に日本診療放射線技師会講義室において、日本放射線公衆安全学会創立10周年記念講演会・祝賀会が開催されました。当日は50名限定の募集に応募した会員が全国から参加していました。

日本放射線公衆安全学会の諸澄邦彦学会長の講演では、学会の設立目的の一つである「放射線による公衆の危害を防止するための調査研究、技術開発とその成果の普及」を掲げて活動されてきた10年間の軌跡が紹介されました。これまで、医療被曝低減施設認定システムの策定、『医療被ばくガイドライン』の改訂、臨床医のための『医療被ばくハンドブック』の出版、診療用放射線関連法令手引書の出版など数々の活動報告をされていました。当院の技師室書庫にも学会編集の著書が何冊も収められています。350人の会員でこれだけの成果を成し遂げる会長のバイタリティに圧倒されるような講演でした。

 日本診療放射線技師会の中澤靖夫会長の講演では、技師会と学会がともに歩んだ10年が振り返られていました。学会で策定した「医療被ばく低減施設認定システム」は技師会の「医療被ばく低減施設認定」事業として、現在38施設が認定されているそうで、今後技師会ではこの事業を力強く推進していく予定であることが述べられていました。

 祝賀会は記念講演会と同じビルの39階にある浜松町東京會舘 レストラン レインボーで行われました。会場からは眼下に浜離宮の美しい庭園が広がり、目を上げれば、晴海埠頭方面を望む絶景が広がり、暮れゆく夏空を見ながら和やかに進行されました。学会の軌跡がスライド上映され、会場が和やかな一体感に包まれそれでいてエネルギッシュな祝賀会となり、日本放射線公衆安全学会のこれから活躍に期待するとともに会員の一人であることに誇りを感じる1日となりました。

 

 

 

日本放射線公衆安全学会 「10周年記念講演会」 印象記

       

                                                                 筑波大学附属病院 横田 浩

 

 日本放射線公衆安全学会10周年記念講演会は、平成25年7月21日に日本診療放射線技師会講義室において、学会長講演、記念講演、特別講演が開催されました。

 学会長講演として「創立から10年という節目を迎えて」と題して、諸澄学会長より、これまでの活動内容に対して講演がありました。医療被ばく低減施設認定システムの策定、法定漏洩線量測定法の確定、サーベイメータ校正システムの策定、医療被ばくガイドラインの改訂、臨床医のための医療被ばくハンドブックの作成等々、日本診療放射線技師会の根幹に関わる活動を精力的に行い成果を挙げてきた事が理解できました。平成11年3月11日の東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所の事故におけるテレビ番組出演でのエピソードは、実際に聞いてみないとわからないご苦労が色々とあった事を知りました。「出る杭は打たれるが、出ない杭は腐る」との五木寛之氏の言葉で締められましたが、医療放射線の管理と国民の医療被ばく低減に向けた活動を益々充実させて頂き、打たれ強い杭となられる事を期待します。

記念講演は、「医療被ばく低減に向けて日本放射線公衆安全学会に期待すること」と題して、中澤日本診療放射線技師会会長より講演がありました。これまで日本診療放射線技師会が取り組んできた医療被ばく低減活動として、卒後教育、技師格認定制度について、そして東日本大震災への取り組みとして、放射線スクリーニングと正しい放射線知識の普及に努めたこと、マスメディア対応に諸澄学会長と渡邊副会長に協力頂いた等の話しがありました。また、巡回検診車による集団検診問題については、診療放射線技師法の改正も含めて厚生労働省に要望していると報告されました。最後に、今後の日本放射線公衆安全学会に期待する事として、医療被ばくガイドラインについてはエビデンスのある調査研究の実施、医療被ばく低減施設認定を目指す施設に対する支援、放射線安全文化の醸成をお願いしたいとの依頼がありました。

 特別講演は、「誤解だらけのメディア情報をどう解決するか」と題して、毎日新聞社生活報道部の小島正美記者より講演がありました。チェルノブイリ事故の放射線障害を研究したバンダジェフスキー博士の体内セシウムの講演はどこまで信用出来るのか、原発事故後の福島の状況を解説する京都大学の小出裕章氏の講演はどこまで信用出来るのか、また、それらを取り上げるマスメディアの特徴として、特異的な現象で物語があり、安全な話しよりも怖い話しを取り上げる体質がある事を解説されました。最近話題になっている子宮頸ガンワクチンであるPM2.5について、地球温暖化について、新聞やテレビニュースの報道には記者の意識で全然違う報道になること、トマトでやせる、コラーゲンは美肌に良い、長生きしたけりゃ肉を食べるな等々、週刊誌は正確な情報より面白い話題を大げさに書く、読んで得する事はなく、妙な情報を信じる弊害が大きいとの話しには、笑いながら納得できました。

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